グリニッジその2 [旅行]
この時期ロンドンは日中の気温は30度以上あったらしく、この日も泣けてくるほどの良い天気で、それはもう暑かったです。
グリニッジ天文台は小高い丘の上にあるので、長くはないけれど勾配の急な道を登るのはちょっとした苦行でした。
往きも帰りも見かけたのが、短い草に覆われた斜面を爆笑しながら転がり落ち競争をしている子供達、しかも多数。この斜度でよくやるなあ、とそのパワーに脱帽。
でも、天文台のバルコニーからの見晴らしで報われました。
心が晴れ晴れします。
しかし、ロンドンにもこれだけ高層ビルがあるんですねー。
グリニッジ標準時を示す24時間時計。ロンドンは当然グリニッジ時間です。
12時半近い頃、暑いわけです・・
さて、ここはお昼の時報が名物と聞いていたので、見物するのを楽しみにしていました。
なんと1833年から、ずっと今迄続いているのだそうです。
フラムスティード・ハウスというこの建物の屋根の上には、風見の付いた黒い柱に赤いボールがささっています。(タイムボール・ステーションといいます)
ボールは13時5分前になると、一番上まで忍び寄るようにゆっくりと登っていきます。
そして13時と同時にストットン!という風に落ちるのです。
するとその瞬間を目撃しようと集まっていた観光客から拍手がワー、パチパチ。ボールの動きが悠長なせいか、ほのぼの感あるイベントでした(^_^)
ところで・・・なんで13時なの?12時じゃないの?って思いませんか?私は思いました。
答えは、12時は職員がお昼ごはんを食べているからだそうです。嘘です(汗)
調べてみたけど分かりませんでした。なぜなんでしょう。
もうひとつの名物は本初子午線。
建物のちょうど中央を走る赤い線が経度0度の経線を示しています。
線はこのように・・・
・・・地面に続いています。目立つ銀色のモニュメントは、おそらく地球と経線、赤道、地軸を表していると思われます。
ここは記念撮影のポイントとして大人気で、なかなか場所が空きません。
私のように諦めの良い人も、そうじゃない人も、1枚はこんな感じで撮っていたようです。
続いて博物館の中に入りました。
この天文台は海事に非常にゆかりが深く、展示物も航海技術の発達に関する資料が中心になっています。
先程のタイムボール・ステーションも、もともとテムズ川に停泊中の船に時刻を知らせるために設置されたものだったのです。
※インターネットで調べてみたところ、現在は英国、オーストラリア、ニュージーランド内の5箇所しかないそうです。昔は日本各地の港にもあったそうですよ。
さて、私が今回ロンドンに寄った目的をお見せします。
何に見えますでしょうか・・・
データ:家庭用電子レンジより一回り大きい位。重さは30キロ前後。
実は18世紀のジョン・ハリソンという時計職人の作った航海用時計です。
時計と一口にいっても、当時としてはスーパーウルトラ級です。
変わった見かけをしていますが、面白いのは動き方で、歯車や重りやバネが実に独特な動き方をします。細い針金がひゅるひゅる伸びたりくるくるっと丸まったり、長い棒がぎっこんばったんしたり。
新手の猫用オモチャかな?と思うような動作も。宮崎アニメの中に登場する何かみたいにも思えます。
これも脇にはみ出した歯車や金具が、人と猫の心をくすぐる動作を繰り返します。
実用的な目的もあっての仕組みらしいですが、でも作った側にもどこかに人の目を楽しませようという気持ちがあったのでしょうね。
特にこれは、女王さまの御座船のような豪華さで、調度品としても最適ですね。オールの動きが優雅でした。
3つは大体同じ位のボリュームです。製作順としては、1番上のが作品2、次が作品3、作品1となります。
作品4はガラっと作風が変化します。
懐中時計に見えますが、CD位のサイズだったと思います。ふっくらとドラ焼きのような厚みもありました。
こんな綺麗な懐中時計が欲しいです・・・。
私がこれらの時計のことを知ったのは、「経度への挑戦 1秒にかけた400年」という本でした。
とても面白い本でほとんど一気に読んでしまったのですが、上の4つの時計が誕生し、現在この天文台博物館に納められるまでのいきさつも紹介されていて、ここに来れば動いている様子が見られると書いてあったのでぜひ見に行きたいと思っていました。
博物館には他にも沢山の時計が収蔵されていて、歴史的価値のある時計の修理工房などもありました。あれやこれや、大変に楽しめた天文台見学でした♪
この他にもグリニッジには見所が沢山あるようで、私もまだまだ見たかったたですが、夜の予定に備えて早めにホテルに帰るため、夕方になる前に後にしました。
上にあげた本ですが、もしご興味が湧きましたら図書館などで手に取ってみて下さいませ。
私の持っている本の帯には、
「経度を測定出来た者に国王の身代金に相当する賞金を与える」
歴史の波間に息づく情熱を描いたノンフィクション
とあります。
ハリソンが中心ですが、それ以外の科学者達のエピソードも面白いです。
豪華版も出ています。時計がカラーで見たくて、続けて買ってしまったのですが、残念なことに翻訳は無いんですよね・・・。でもせっかくなのでついでにご紹介します。
博物館に行く必要が無いくらい豊富な図版が載っています。
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